最近の話題の教本
今話題の「3か月でマスターするピアノ」という本を購入してみました。
きっかけは大人の生徒さんから
「先生知ってますか?良さそうなんですけどああいう本ってどう思いますか?」と聞かれたのと、
知人の弦楽器奏者から「自分の母親があの本でコツコツピアノ始めてるんだよね。見てみたら結構いいから自分もやってみようかなって!」
などと大好評。
大好評と言っても楽器奏者のお母様含めるとたった3人だけなのですが、楽器奏者の知人も先生であること、そしてそのお母様は80近いお年で一人でコツコツ続けられているということで信頼度が爆上がりしました。
楽器奏者の知人が言うには
「昔よくあったただただ真似させるだけの本ではなく、大人のプライドを傷つけずにしかもちゃんと姿勢、体や指の使い方から丁寧に書いてあって、この後ピアノの先生に習いに行っても続いていけるような教本になっていた。
自分も先生として教え方の参考になる」と大変な褒めよう。
さっそく本屋さんへ
と言うわけで早速本屋さんへ行くとすぐに見つかりました。
「今人気です」という風貌で数多く積み上げられていました。
黄色と黒のコントラストがよく効いていて目立ちます。
まずひと言で言うと「非常にコスパ良し」
ちょっと偉そうですが、このボリュームと内容でこの価格はかなりお安い・・・
と思ったからです。
この手の本によくありがちな「音名全振り」もなく、その代わりに指番号が事細かに記してあるのも好感が持てます。
そうなんです。
音名はなんとか数えれば自力で読めるし読むべきだけど、指番号は初心者が考えるのは無理です。
「指番号を制するものは曲を制する」
と言っても過言ではないくらい指番号は大事です。
独学ではむずかしい
あとこの本で非常に良いと思った点がもう1つ。
独学のための本ではないということ。
独学だとできないと書いてあるわけではなく、
「ピアノの上手な人に姿勢をチェックしてもらいましょう」
「もしピアノの上手な人が周りにいたらその人にもう片方のパートを弾いてもらいましょう」
などと、さりげなーーく
「ピアノの上手な方の助けも借りてみましょう」
と言っています。
もちろん一人で練習に取り組めるように丁寧に丁寧に書かれています。
ただ、どうしてもピアノは難しいので客観的な目が必要です。
上手くなりたいなら。
この本は
本当の初心者用にはサティの「ジムノペディ」
ちょっと経験のある人はショパンの「革命」
この2曲が選曲されています。
どちらもとても有名ですし、
「え?これが弾けるの?これが弾けたら嬉しい!」
と思える2曲です。
選曲もバッチリでピアノに憧れる人のハートを鷲掴み!
革命なんてちょっと経験があるくらいであの速さで弾くなんて土台無理というものですが、
「ゆっくりでもきちんと正しく弾けばショパンらしい響きを味わうことができます」
これがもう本当に素晴らしいフレーズ。
独自の解釈ややり方で無茶苦茶な弾き方をしていると変な癖がつき、取り返しがつかなくなります。でもその時だけ楽しんで満足できるならそれもいい。
ただ、「ピアノ面白くなっちゃった⭐️先生について習ってみようかな🎵」となった場合に悪癖があるとまずそこを取るところから始めるので、
「マイナスからゼロに戻す」
という途方もない作業から始めることになります。
そこへ行くとこの本はさりげなーーく「ピアノの上手な人にチェック」をお勧めしながら、姿勢や手の使い方、丁寧な練習方法が書かれていますので素晴らしいです。
文章の読解力と理解力が求められる
この本には無駄なことが一切書いてません。
とても合理的で、どの文章も説明も大事なことばかり。
なので「適当に」読む進めるときちんと効果は出ません。
普段文章に慣れている人なら大丈夫かと思いますが、実践型の人には少々めんどくさくなるかもしれません。
そして写真付きで手の使い方など実践できるように見本も載っていますが
「この通りにできているか」の判断がやはりむずかしいと感じます。
もう1つ、例えば初心者用のジムノペディですが、本当の初学者は片手で音を3つ抑えるのは非常にむずかしいです。
本には正しい手の使い方が書いてあるので、一生懸命練習したらできるかもしれませんが、ただその頑張って押した3つの音(和音という)が
「合ってるのか間違っているのか耳で判断できない問題」
が待っています。
「えー?音違ったら流石にわかるでしょ?」
と思われる方もいるかと思いますが、そんなことないんですよ。
もうね、両手って指10本もありますからね、
「自分の動かしている指が何番なのか、そして次に動かさなきゃならない指や音はなんなのか」
なんてやってたらしまいには「右手だか左手だかもわからなくなる」なんてこともよく起こります。
そんな状態ですので、もう聴覚まで神経が行き届かないんですね。
隣の音を弾いちゃうどころか、手を置く場所が遠く離れても間違ってることに気が付かないなんてこともよくあります。
動いてほしくない指が勝手に暴走したり、動いて欲しい指が「ピッ」と関係ない鍵盤押したりね、10本の指の神経と脳が繋がるまではそれはそれは大変なんです。
最も気に入ったひとこと
この本の購入を一瞬で決めたあるフレーズ。
「上手とは基本がちゃんとしてること」
よくぞ言ってくれました。
楽しければ何でもいいじゃない。
ヘタウマを持ち上げてるわけでもない。
自由に弾きたい方には堅苦しく嫌な言葉かもしれませんが、クラシックピアノではやはり基本を無視するわけにはいきません。
今は便利にオンラインで単発でもレッスンを受けられる時代。
ぜひそういうサービスも利用してみると良いと思います。
一人でも多くの方がピアノが好きになりますように♪
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